東京地方裁判所 昭和46年(特わ)1001号 判決 1971年12月11日
被告人
本店所在地 東京都港区芝神谷町一八番地
株式会社八木商事
右代表者代表取締役
拝師艶子
本籍
京都市右京区太泰安井辰己町一一番地
住居
東京都港区芝神谷町一八番地
職業
会社役員
拝師艶子
昭和四年四月一六日生
被告事件
法人税法違反
出席検察官
河野博
主文
1 被告会社株式会社八木商事を罰金七〇〇万円に被告人拝師艶子を懲役四月にそれぞれ処する。
2 被告人拝師艶子に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社八木商事は、東京都港区芝神谷町一八番地に本店を置き、バーの経営等を目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人拝師艶子は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人拝師は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し仮名預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和四二年六月一日から同四三年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五三、四一八、七八四円あつたのにかかわらず、同四三年七月三一日、東京都品川区南品川四丁目二番三二号所在の所轄品川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、七五一、六五七円で、これに対する法人税額が四九〇、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、同会社の右事業年度の正規の法人税額一八、四八六、三〇〇円と右申告税額との差額一七、九九六、一〇〇円を免れ
第二 昭和四三年六月一日から同四四年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三一、一六二、四一七円あつたのにかかわらず、同四四年七月三一日、前記品川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、八三五、二七三円で、これに対する法人税額が五一三、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、同会社の右事業年度の正規の法人税額一〇、六九六、七〇〇円と右申告税額との差額一〇、一八二、九〇〇円を免れ
たものである。(なお右各所得の内容は別紙一、二の各修正貸借対照表のとおりであり、各税額の計算は別紙三の税額計算書のとおりである。)
(証拠の標目)(かつこ内は立証事項であり、数字は別紙一、二の各修正貸借対照表の勘定科目の番号である。)
一、登記官作成の被告会社の登記簿謄本二通(全般)
一、珠美景子の検察官に対する供述書二通(一の16、二の16)
一、次の者に対する大蔵事務官の質問てん末書
1 斉藤定夫(二の3 6 8)
2 板倉正(二の3 8)
3 小宮千代子(二の3 8 11 12)
4 珠美景子(昭和四五年二月三日付および同年九月八日付)(一の4、二の4)
5 森永昭二(二の11 12)
一、次の者作成の取引内容照会に対する回答書
1 株式会社秀粋経理担当者白岩一美(一の7、二の7)
2 西尾呉服西尾貞郎(二通)(一の7、二の7)
3 有限会社西島電気商会(一の7)
4 堀井冷機株式会社代表取締役堀井康治(二の8)
5 紅葉屋樋口光司(一の14、二の14)
6 有限会社木屋商店代表取締役玉井清(一の14、二の14)
一、次の者作成の公租公課の納付状況等についての回答書
1 東京都中央税務事務所長小島年雄(一の9 17、二の9 17)
2 品川税務署長加藤太刀男(一の9、二の9)
3 東京都品川税務事務所長塙信男(一の9 19、二の9 19)
一、大正海上火災保険株式会社経理部長松葉登起男作成の保険料領収状況の照会に対する回答書(一の7、二の7)
一、平和相互銀行新橋支店支店長代理大橋延安作成の預金等取引内容について(一の1 2 7 16、二の1 2 3 7 8 15 16)
一、同支店貸付係長中野明作成の貸付金等取引内容について(二の3 8)
一、次の者作成の上申書
1 株式会社高木屋商店経理担当者田中千恵子(バーつやとの取引について)(一の14、二の14)
2 有限会社福美屋代表取締役三井高俊(取引内容について)(一の14)
一、登記官作成の有限会社鳴滝の登記簿謄本(二の13)
一、大蔵事務官作成の次の書面
1 各期末現在手持ちの受取小切手金額調査書(一の1、二の1)
2 預金関係調査書(一の2 7、二の2 7)
3 売掛金残高調査書(一の4、二の4)
4 バンス調査書(一の6、二の6)
5 貸付金調査書(東邦工機分)(一の6、二の6)
6 右同(礎西修二個人分)(一の6、二の6)
7 右同(一の6、二の6)
8 社長貸付金調査書(一の7、二の7)
9 固定資産増減調査書(一の10、二の10)
10 仕入買掛調査書(一の14、二の14)
11 未払金等調査書(一の17、二の17)
12 源泉所得税納付状況調(一の20、二の20)
13 修正貸借対照表(一の19)
一、押収してある次の証拠物(昭和四六年押一五五六号)
1 入金帳一冊(符号1)(一の1、二の1)
2 売上入金伝票一箱(同2)(一の1 4、二の1 4 8 15)
3 売上入金帳一冊(同3)(一の1、二の1 8 15)
4 賃貸借契約書一袋(同12)(二の11 12)
5 経費明細帳一綴(同13)(二の3)
6 確定申告書(41・6・1~42・5・31分)一綴(同18)(一の5 9、二の9)
7 右 同(42・6・1~43・5・31分)一綴(同19)(一の5 9 10 18、二の5 9 19)
8 右 同(43・6・1~44・5・31分)一綴(同20)(二の5 9)
9 領収証等一袋(同22)(一の7)
10 見積書等一袋(同27)(二の8)
11 臨時株主総会議事録等一袋(同32)(二の11 12)
12 賃貸借契約証等一袋(同34)(二の11 12)
13 売上帳七綴(同38 39)(一の14、二の14)
一、被告人作成の次の上申書
1 拝師艶子分の売上金額及び売掛金等の残高について(一の4、二の4)
2 バンス(貸付金)の貸倒損失及び期末残高について(一の6、二の6)
3 生活費について(一の7、二の7 13)
4 赤坂鈴喜との取引について(一の7、二の7)
5 株式会社アベールとの取引について(一の7、二の7)
6 株式会社秀粋との取引について(一の7、二の7)
7 西尾呉服店及び株式会社「にしお」との取引について(一の7、二の7)
8 有限会社鳴滝の貸借対照表及び損益計算書について(二の8)
一、被告人に対する大蔵事務官の次の質問てん末書
1 昭和四五年一月三〇日付(全般)
2 同年二月四日付(一の7 20、二の7 20)
3 同月七日付(一の6 14 16、二の6 13)
4 同月一三日付(一の7、二の7)
5 同年三月三日付(全般)
6 同月七日付(一の7、二の6 7)
7 同月二七日付(一の2 4、二の2 4)
8 同年六月一五日付(一の6 7、二の6 7)
9 同年七月一四日付(一の1 2 4 5 7、二の1 2 4 5 6 7)
10 昭和四六年一月一六日付(一の17 20、二の17 20)
11 同月一七日付(二の1)
12 同月二二日付(一の1 4、二の1 4 8 11 12)
13 同年二月二〇日付(一の7、二の3 7 13)
一、被告人の検察官に対する各供述調書および当公判廷における供述(全般)
(法令の適用)
1 被告会社につき法人税法一五九条、一六四条一項、被告人拝師につき同法一五九条(各懲役刑選択)。
2 併合罪加重につき刑法四五条前段、四八条二項(被告会社)、四七条本文、一〇条(被告人拝師、第一の罪の刑に加重)。
3 刑の執行猶予につき同法二五条一項。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 松本昭徳)
別紙一 修正貸借対照表
株式会社八木商事
昭和43年5月31日
<省略>
株式会社八木商事
昭和44年5月31日
<省略>
別紙三 税額計算書
株式会社八木商事
<省略>